2007-01-01から1年間の記事一覧
東南東に針路をとって 一年航海しておいで 船が壊れて筏になって 波にもまれて裸になって それでも帰ってきてくれなくちゃ いくら口説いても落ちないよ
どうやってでも見つけたかった 「止まれ」と言われて止まれなかった ただうろうろとさまよってても 近づいているとわかってた ふとした拍子に振り向いてみたら 家路は遠く消えていた 今から急いで帰っても 卒業式には間に合わない
自慢のネクタイを翻し 毎朝どこかへ消えてしまう コインの手品を100も知ってる 逆立ちのしかたをおぼえてる 塾の帰りにコンビニで会うと おでんのたまごをはんぶんくれた 大人も笑うと初めて知った シャツのボタンが2個とれていた
ふたりだけのあたらしい言葉で 話していたつもりだったけど もしかしたらみんな わかっててしらんふりしていたのかな あの日「もう食わず嫌いは無いんだ」と胸を張った君は だけど うそつきは針を千本飲むんだってまだ信じていた
舌を出したままとおせんぼ ほんとのことを言わなきゃくれない 赤い木の実を握りしめ じゅんばんこなんて待ってられない いつもいちばんじゃなきゃ気が済まない 君は王様 世界はかつて 好きと嫌いだけでできていた
教科書に載っていないことをたくさん教えてくれた いつだって惜しげもなく100点満点とはなまるをくれた あなたのいない町でどうやって息をすれば良いのか 聞いたら ちらりと歯を見せて笑った 嘘つきだと知った
ほっといてくれ と木の上から君は言う 一歩後ろにさがって 飛べそうにない背中を見ている いちど伸ばした両腕は 受けとめられないと思ってひっこめた どんな日だったか忘れたけれど 短い電車が 遠くから遠くへ運ばれていく午後だった
この冬いちばん寒い日に 君が迎えにきてくれた 一度 組み伏せたあやまちを そんな簡単に ゆるしていいの?
機転をきかせたつもりだった ただただ変わらずいてほしかった ムリして作った笑顔で 君は いってきますと ひとこと 告げる
はぐれてしまった御堂筋 ぐっとくちびるを噛みしめて 東京からの電話を待った さびしいくらい なんやねん
だしぬけに笑い出して 置いてけぼり 友情って言葉を知ってるかい? それでも手をさしのべるなら この際 いっそくたばれって言っておくれよ
遠い地球に合図をおくった 銀河は霞のようだった 花がひらいたと返事があった ここから吹く風は届くだろうか
どうせいつものホラだって うなづこうともしなかった きっと嘘だって言ってくれる 今も 耳をふさいで待っている
また会おうと確かに言った 迷路ですれ違っただけの僕に 君は安心しきったような笑顔を見せて 大きな飴玉を二個くれた
事態は混迷を極め 老科学者達が頭を抱えるばかりだった 会話に聞き耳を立てていた通信兵が 恩恵に与れないと知って静かに無線を置いた
気合いを入れることもなく しょうがないなと言うように てんでんばらばらに それぞれの決勝戦へ向かう
とうとう捕まった 三年越しの犯罪者たち なんでもないというように 堂々と敗北宣言をした
またやろうと言って片目をつぶった どうしてうなづいてしまったんだろう 潰れた工場の錆びた機械の上で 喧嘩も将来も違う国の話みたいだった
どんどん遠ざかる街の灯りに こうするしかなかったのかと責められる 惚れたはれたにおいても劣等生だった 社会の成績だって悪かった
この旅行に必要なのは 帰りの切符なんかじゃない 子供の頃隠した答案の点数を 内緒にしたまま出発してしまった
ちっちゃなころから悪ガキで 冗談ばかりいっていたから 最初で最後のさよならが 今日だなんて思ってもみなかった